男のワキ毛はどこへ行った
先日、肌のメンテナンスに美容クリニックへ行ったら、男性の叫び声が聞こえた。
「何だか賑やかですね」と看護師さんに声をかけると、「男性は痛みに弱いんですね。女性よりも声を出される方が多いんです」。叫び声の主は、医療脱毛の患者さんだった。
大人の男性にワキ毛があるのが当たり前だった昭和時代。中学生の頃、歌番組で上半身裸に近い衣装で歌うジャニーズのタレントに、うっすらとしたワキ毛を発見するたび、「あぁ、この子も大人になるのか。いくつだったっけ?」なんて、性的なものを感じていた。
30年以上前、私がエステティシャンだったとき、系列に男性用エステサロンが誕生した。当時はヒゲやスネ毛のニードル脱毛がメインで、お客さまはお見合い写真のために来る公務員が多かった。対応するスタッフは、間違いが起こらないよう、既婚者の年配女性と決まっていた。
令和に入り、時はボーイズグループ戦国時代。中性的で、ほどよく筋肉のついたセクシーなアイドルたちにワキ毛は見当たらない。俳優メインの子はうっすらと残っていることが多いが、圧倒的につるつるだ。昭和の中学生は気になりすぎて、歌番組やSNSでちらっと脇が見えるたびにチェックしちゃう変態ぶり。
最近知り合った30代前半夫婦の旦那様は、全身つるつるだという。きっかけは介護脱毛だそうだ。老いて介護される側になったとき、下の世話をする相手へのエチケットとして処理しておく。それを知って始めた。奥様のほうも、まったく違和感がないらしい。
パーソナルトレーナーのゴリゴリマッチョな男性も、大会で見栄えをよくするために全身つるつるにしている。
私がアイドルから離れていた間に、男性のワキ毛は女性のものと同じく、処理して当たり前になってしまったのだろうか。
その答えを探すため、定期的に渡韓するK-POPアイドル大好きなOLに話を聞いてみると、「あえて気にして見たことはないかなー。みんなないんじゃないですかね?」。日本のアイドルを全国追いかける女子は「私の推しはつるつるですけど、個人的にはうっすら生えているほうが好きですね」。その後も日々フィールド調査を続けて、私なりの結論が出た。
中性的な魅力、もしくはマッチョをウリにしている人にはないことが多い。一般人にも脇脱毛は浸透しているけれど、定着はしていない。そして、今どき女子たちは男性のワキ毛に対して興味がない。
昔から、女性は美しく、若くいることに時間とお金をかけてきた。それが当たり前だと思っていた。今は、男性も美しくいることが求められる時代。叫ぶほど痛くても脱毛に通わなければいけない。
人は見た目に左右される。美しいほうが得をすることに、異論はない。私自身、可愛い人やカッコイイ人が好きで、無意識に区別してきた。メイクとファッションにずいぶんお金を使い、外見を整えて得をしてきた。ただ、その比重は女性のほうが圧倒的に多かった。
女一人でも生きていける世の中になった今、メンズたちも覚悟を持って、美しくなることを楽しみはじめた。アラフィフの私も彼らに負けず、自分を磨こう。
