それでも戸建てに住みたいアラフィフ独身女
「家を買う時代は終わった」「富裕層は賃貸」などとずいぶん前から言われている。今や定番コンテンツである、賃貸vs持ち家論争。郊外の10坪程度の土地に、ビルトインガレージ付きの住宅を建てた私にとっては、ただの面白コンテンツだ。
昔から、悩みに悩んだあげく、最後は考えることを放棄して思い切ったことをしてしまうタイプだった。家を買うときも、「メンテナンスを考えたら賃貸がいいのでは」「ご近所問題が発生しても逃げられないな」と買わない理由になる情報ばかりが入ってきた。でも、目の前のストレスに耐えられなくなって、最後は勢いだった。
家を買いたいと思ったのは、愛車である1958年式空冷ビートルをガレージに保管したかったから。購入時は賃貸マンションに住んでいて、外置き駐車場にカバーを掛けていた。ずぼらな性格なので、いちいちカバーをかけたり、外したりするのが面倒だった。現行車より音が大きいからだろう、同じマンションの住人に、うるさいと言わんばかりに睨まれたり、舌打ちされたりすることもあった。
やっと出会えた運命の車なのに、生活の重荷になりつつあった頃、誰もが買わないような小さな土地を見つけた。住宅ローンの申請やら、工務店とのトラブルを乗り越えて何とか完成した私のお城。集合住宅の賃貸にしか住んだことがなかったから、玄関の広さ、一畳の大きさ、ひとつずつに感動した。
そして、新しい家族を迎えた。ベンガル猫の男の子だ。昔からペットを飼うなら猫と決めていた。猫の気ままな感じが、自分の性格と合っている。
猫さまが我が家にきて二日目。エアコンは破壊され、こだわりの床は傷だらけになったけれど、もう退去金を気にしなくていいと思ったら、それすらも笑ってネタにできる。
自分の好きな壁紙、お風呂、床、インテリア……どんな高級マンションでもこの自由度はなかった。所詮借り物だから気を使うしね。
住人の目を気にすることも、足音にイライラすることもない。実は、私、マンションで他の住民と顔を合わせることが苦手で、エレベーターをやりすごしたり、出かけるときに人の気配を感じると、いなくなるまで玄関で待機していた。今は、そんなことしなくていい。部屋から直接ガレージに入って、出発できる。
子どもが出ていったときに売ることを考えたら……リセールバリュー? ナニソレ? 独身女にはそんなことは関係ない。ご近所トラブルがあってもすぐに逃げられない……事前のリサーチと立地で、あらかた回避できる。
みんな何を心配しているか知らないけれど、私は今、家を買って幸せだ。ストレスが無くなった分、就労意欲も湧いて、収入も上がった。車が趣味と言いながら、家と猫が好きすぎて、お金も使わなくなった。引きこもりだから。もし、今の家を引っ越さなくてはいけない事情が出来ても、私は戸建てを探すだろう。
